テコンドーについて知る
スピードとパワーを兼ね備えた華麗な足技で、格闘技界の注目を集めているテコンドー。
テコンドーとは現代科学を基礎にした近代的なスポーツであると同時に、精神面を重んじる武道でもあります。
簡単に言うと、武器を持たず、素手で敵の攻撃から身を守る武術であり、
正当防衛の為、磨かれた精神と鍛えた手や足をはじめ、身体の全ての部分を科学的に活用する方法と技の集大成であります。
もう少し詳しく言うと、テコンドーは空手や朝鮮の古武術、他の様々な武術の長所を取り込み、
「人間の持ち得る力を最大限に利用するにはどうすればいいか」
という考えを科学的に研究し、1955年に故 崔泓煕(チェ・ホンヒ)総裁により創始されました。
老若男女を問わず学びやすい確かな技術と、精神性が受け入れられ世界各国に普及ました。 世界165カ国4000万人に親しまれています。
現在はITF(テコンドーの元祖、武道性を重んじる)とITFより派生しオリンピック競技となったWT(よりスポーツ性に特化)という大きく二つの流派がありますが、私たちは崔泓煕(チェ・ホンヒ)総裁の創始された源流であるITFに所属しています。
テコンドーは漢字で「跆拳道」と表し、それぞれ次のような意味があります。
跆
足を用いた跳ぶ・蹴る・踏む動作
拳
手を用いた突く・砕く・叩く動作
道
正義感・強靭性・謙虚さ・決断力を養成する精神修養
まとめると、武器を持たず護身のため足で跳び、蹴り、突き、防ぎ、避ける等の動作を、動く目標に対しすばやく、そして適切に用いて、最大のダメージを与える技術と精神修養を含めた武道であります。
テコンドーは身体的・技術的にも優れていますが、それを学ぶ上で大切にする精神がとても魅力的です。
テコンドー精神
世界共通、テコンドーを学ぶ上での全ての基盤。地図のようなもの。
迷った時は、テコンドー精神に立ち返って方向修正。全ての答えはここにある。
テコンドーに限らず、人生の指針としても十分通用する。
テコンドー5つの魅力
①キックがかっこいい!
なんといってもテコンドーの魅力は華麗なキック!
多彩な蹴りの応酬はテコンドーの醍醐味!
② とってもカンタン!誰でも強くなれる!
根性論はいりません。
誰でも100%の力を出せるようにと科学的に考えられた確かな理論がテコンドーにはあります。
段階的に整備された上達できるカリキュラム。気が付いたら強くなっています。
③健康にいい!
鋭く切るように吐く呼吸法が基本。それを筋肉の収縮と同時に何度も行います。
細胞まで酸素供給量が増幅し新陳代謝。
ストレスは吹っ飛び、からだ全体の筋肉が強くしなやかなに。
俊敏性に優れたスタイリッシュな身体を作ります。
お肌ツヤツヤ。腰痛持ちの方や喘息の子も治ります。
④心が綺麗になる。
技を研く過程では、自分を見つめ直す謙虚心が上達の秘訣。
テコンドー精神に立ち返り考える。
この動作はこれでいいのか?さっきの態度、発言はどうだった?自問自答の繰り返し。
自分を客観視できる姿勢が自然に身に付き、気が付くと人に対しての接し方も変わっています。
⑤道衣がかっこいい!
テコンドーの道衣は、数ある武道の中でもかなりおしゃれ。
背中のデザインはグローバルな武道であることを象徴していますね。♪
中でも有段者になると上着の裾に黒いラインが入ります!
あなたがこれを着てハイキックしている姿を是非想像してください。 かっこいい~~~!!!☆
テコンドーの昇級課題
テコンドーでは、各レベルに応じて級・段制度が設けられています。
審査は、技術だけではなく、人格、忍耐力、勇気、誠実さ等の精神面が正しく評価され、段位及び級位が決められます。
帯色に込められた意味
テコンドーでは段位を取得するまで、各級における習得課題をクリアする事で級位が変わり、それに伴って締める帯の色も変わってゆきます。
それは、単に修練者の技量の錬度を表すだけでなく、精神的な修練における自覚を呼び起こす意味も含まれているのです。
すなわち、テコンドーの「ドー」が「道」として記され、精神修養を重視している所以でもあります。
白帯(10級、9級)
10級、9級は白帯です |
白はテコンドーに入門したての修練者、テコンドーにおける修練による技量が無い、純粋無垢な状態を表しています。
この帯色の修練者はテコンドーの知識、技術の基礎を固める大事な時期にあり、今後修練を続けてゆくにあたっての下地を作らねばなりません。
また、白は何も書かれていないキャンバスの様なものでもあり、今後の無限の可能性を彷彿させる色でもあるのです。
黄帯(8級、7級)
8級、7級は黄帯です |
黄色は大地の創造を表します。何も無い状態から大地が創造された状態のイメージでとらえられ、テコンドーを修練するに当たっての基礎的な下地が出来た事を意味します。
基礎をより一層固めると共に今まで以上にテコンドーのより多くの技術と精神を学び、更に成長する為の努力を続けなくてはなりません。
大地が豊かであればそこに育つ植物は健康に大きく育ちますが、逆に痩せた大地であればそこに育つ植物は小さく弱いものになってしまいます。
それゆえ、修練者がテコンドーを続けてゆく上で最も大事な時期と言えるのがこの黄帯の時期なのです。
緑帯(6級、5級)
6級、5級は緑帯です |
緑帯は樹木が葉を広げ成長する様子を表しています。
更に多くの、難度の高い技術を習得してゆく時期である事を表し、樹木の生長に例えると瑞々しく大きく元気に成長する状態を意味しているのです。
妥協する事無く己の修練に取り組み、更なる高みに向けて成長を続けていく時期です。
青帯(4級、3級)
4級、3級は青帯です |
青色は樹木が青空に向けてぐんぐんと成長を続けてゆくイメージです。
青空には限界と言うものが無く、空高くどこまでも続いています。この時期はテコンドーにおける中上級者として己を意識し始めますが、自らの今までの成長に満足していてはそれ以上の高みにたどり着くことはできません。
限りない空に向けて成長し続ける様に修練を欠かす事無く、常に謙虚さを持って邁進してゆく自覚が重要な時期でもあるのです。
赤帯(2級、1級)
2級、1級は赤帯です |
天高く伸びた樹木にはやがて赤く大きな実がなります。
テコンドー修練者として正に実り深い時期です。赤色は結実した実のイメージであると共に、一般的に世の中で使用される警告の色です。赤帯に達した修練者は身に付けたテコンドーの技術は高度なものを持っていますが、技術に溺れる事無く、己の精神の未熟な部分を自覚し、強化しなくてはなりません。
テコンドー精神を忘れる事無く、自分の中で具現化できているか自問自答を繰り返します。テコンドーは単なる技術体系ではなく、精神修養もそれ以上に求められる修練課題なのです。
この時期はテコンドー修練者としての自覚を持ち、テコンドー精神をその身を以って実現する役割を担っている事を常に意識し修練に取り組まねばなりません。
黒帯(1段~)
1段からは黒帯です |
黒は何色にも染まらない、確固たる強さを持った色。
白の反対色であり、テコンドーに熟達したことを表します。
その技量によって、暗い所においてもテコンドーの力を発揮できる事を意味し、また闇や恐怖に動じず正義を貫く使命感や精神力を表します。
テコンドー有段者について
昇級では10から1までと数字が少なくなる程、精神と技量の錬度が上がりますが、段位においては初段から九段まで、と数字が大きくなる程、錬度が上がります。段位が最高九段と規定されるのは東洋哲学上、至高とされる数字「三」を掛け合わせた数がそれであり、古来より最も高い所を示す数字であるが故であります。
また、一段を初段とも称すのは、黒帯を取得すればテコンドーの修練が終わる訳ではない事を示しています。これは初段の段階においてはテコンドーの3200にも及ぶ基本動作中、100余までしか習得できていない事からでもあり、テコンドーの用語、理論体系、精神修養面などテコンドー全般を以って量る時、本当のテコンドーの修練は初段から始まると言っても過言ではないのです。
有段者は己の段位に満足せず、残る技術の習得、研鑽に励むと共に、自身の行動が即、周囲の者に影響を与える事を念頭に置き、道場内外での言動において下級者の模範となるべく良き手本とならねばならないのです。
テコンドーの競技
テコンドーと言えば、戦う競技のイメージが強いですが、元来テコンドーは自身の精神を磨く為の武道であり、競技はその中の一つに過ぎません。
修練を続けるためのスパイスであったり、現段階のチェック機会であると考えます。
当然競技の勝敗が全てではなく、試合内容やそれまでの練習過程、今後の心構えを見直す機会になれば良いと思います。
しかし、試合経験の多さは度胸、悔しさ、反省、改善、喜び、思考の広がりなど多くの経験を積むことができ、結果的に技術習得の速度は早くなります。
試合は試し合うと書き、相手がいるからそれが可能になる。
対戦相手に感謝し、大会を開催してくれたことにも感謝できるようになると武道人らしい大きな視野と心が育ちます。 結果だけにこだわらず自身の修練の一環として捉えて挑戦することをお勧めします。
トゥル(型)
トゥルは、テコンドーの根幹を成すとも言われます。
テコンドーには2000の手技、1200の足技があり、合計3200種類に及ぶ技術があります。
トゥルにはバランスよくその技術が組み込まれ、合計24種類のトゥルがあります。
実際の攻防を想定した一連の流れのある動作の中で、正確性、力強さ、バランス、呼吸、タイミング、リズムなどが採点のポイントになります。
級位、段位に合ったそれぞれ課題のトゥルがあり、指定されたトゥルと自身で選択したトゥルを行います。
確かな技術と乱れない強靭な精神力が求められ、1対1のトーナメント制で競います。
マッソギ(組手)
体重別にクラス分けされ、制限時間内に蹴りや突きで多くポイントを取った方が勝者。
ポイントは、攻撃が決まった箇所、跳んで回転して蹴るなど技の難易度によって点数が分かれます。
安全のため、手と足に防具を付け、子供や女性、有級者は面や胴の防具を付けて行います。
帯より下の下段や背中への攻撃は禁止。掴みや投げ技も禁止。
アッパーやフックなどの曲線パンチも禁止です。
相手を倒す事を目的としておらず、戦術と確かな技術を競い合う事を目的としており、ノックアウト(KO)はなく、相手に致命打を与えず攻撃するライトコンタクトルールで行います。
技術、スタミナ、戦術の他に痛みや恐怖に打ち勝つ勇気、厳しいルールを順守する冷静さと相手に乱されない強靭な精神力が求められます。スピーディな蹴りの応酬が醍醐味!
スペシャルテクニック(特技)
跳び蹴りによる板割りを行い、どれだけ高いところにある板を割ることが出来るか、または遠いところにある板を割ることが出来るかを競います。
瞬発力と跳躍力、柔軟性に加え、正確な部位で蹴ることが必要。高い身体能力と確かな技術、自身の限界へ挑戦する勇気が求められます。
パワーブレイキング(威力)
テコンドーの力の理論に則り、技の全力を発揮する競技。
マッソギ(組手)はライトコンタクト制でパワーをセーブし相手を倒してはならないが、反対にこのパワーブレキング競技は、全力を発揮し技の威力を試します。手技・足技により割る板の枚数を競う競技です。
暴力的な筋力任せの動きでは多くの枚数を割ることは出来ません。
テコンドーの力の理論は、【重さ×速さ】
それを有効にする為に、「反動」「呼吸」「バランス」「集中」という要素が大切。
このどれが欠けても技は崩れます。
洗練された正確な技術と、乱れない精神力が必要とされます。
団体トゥル
トーナメント制にて五人制または三人制で行われ、全員のトゥルの精度に加え、チームワークと結束力が試されます。
呼吸とタイミングの一致、あえてタイミングをずらす事、早い技で連続性を魅せたり、フォーメーションなどでトゥルの芸術性を幅広く表現し、美的感覚を養います。
テコンドーは護身芸術とも呼ばれています。 協調性と互いに信頼し助け合う自他共栄の精神が磨かれます。
団体マッソギ
五人対五人。先行後攻で順番に選手を選択して選出。1対1でマッソギを競います。
勝ち抜きではなく、先に三勝したチームが勝利。
個人マッソギは体重別にクラス分けしてあるが、団体戦は体重フリー。
軽い選手と重い選手が戦うこともしばしば。見応えのある対戦が実現。
それぞれの特徴を活かしチーム一丸となって勝利を目指します。
大人の大会ではまれに行われ、子供の大会では安全の為行っておりません。
セルフディフェンス(チームルーティン)
一人対複数の護身術の表現競技。
- 跳んで複数へ蹴り
- ナイフや棒など武器を持った相手への対処
- 関節技・投げ技
- 複数からの防御
などの指定された技を制限時間内に実践する。
技の正確性や精度を評価し、ポイント制でチームの優劣を決める。
テコンドーが武道であり護身である事を改めて深く考え、思考と技術が発展する機会となる。
世界大会認定競技。